不動産を売却する場合に、悪質な不動産会社に当たってしまう可能性はゼロではありません。ここでは、悪質な不動産会社が行う手口と対策について解説していきますので、参考にしてください。
不動産売却を不動産会社に依頼すると、物件情報がレインズに登録・公開されます。この時、レインズ上で「申込あり」と偽って表記し、他社が仲介する顧客からその物件が購入されないようにします。これが「囲い込み」が行われている状態です。不動産会社がこの囲い込みを行うのは、両手仲介により多額の仲介手数料を獲得するためです。
囲い込みをされると、売主には2つのデメリットがあります。1つは売却期間が長引く可能性がある点です。囲い込みが行われると問い合わせなどが減り、売却までの期間が長引きやすくなります。例えば、住み替えにあたり新居を先に購入する「買い先行」の場合、売却期間が長引くと二重ローンの期間が長くなることも考えられます。
2つ目のデメリットは、高値での売却ができなくなるおそれがある点です。例え不動産の売却価格が多少下がっても、不動産会社は両手仲介により大きな売り上げにつながります。そのため、どうにか売買を成立させようとして「売却価格を下げましょう」といった提案が行われる場合があります。
売主にとって大きなデメリットのある囲い込みへの対応として、国土交通省では宅地建物取引業法を改正しています。この改正によって2025年1月以降、不動産仲介業者が囲い込みを行った場合には宅地建物取引業法第65条第1項で定められる指示処分の対象となる可能性があります。
囲い込みが行われていないか確認するには、レインズのステータスを確認します。売主が紹介停止を依頼していないのに、レインズ上のステータスが「売主都合で一時紹介停止中」となっている場合には不自然であるといえますし、仲介業者から購入の申込みについて連絡が入っていないにもかかわらず、レインズ上で「購入申込みあり」と表示されている場合には、虚偽の登録が行われているか、連絡漏れが発生していると考えられます。
もしレインズを見て表示に疑問がある場合には、仲介業者にすぐに確認してください。もし表示について納得できる回答が得られない場合には、囲い込みが行われている可能性がありますので、他の不動産会社の意見を取り入れる、行政への相談を検討するなどの対応を行うことがおすすめです。
「干し」とは媒介契約を締結したにもかかわらず、積極的に売却活動を行わずに放置することです。不動産会社は媒介契約の締結後、物件情報をレインズや不動産ポータルサイトなどに掲載し、売却活動を行って売買契約成立を目指します。しかし干し行為が行われると売却活動が行われない状況になり、売却活動が進まなくなります。
干し行為が行われる理由は、「売主に売り出し価格を下げさせるため」「売れる見込みが高くないため広告費を削りたい」「自社で買主を見つけたい」などが考えられます。
中でも相場より高値で媒介契約を結んだケースが、干し行為の代表的パターンとされています。これは、売却の見込みがないものの、媒介契約を獲得するために他社よりも査定額を高くしている、というケースです。また、相場よりも査定額が高い場合、そのままでは通常売却できません。売主に売れる価格まで値下げさせるためにも、売却活動を行わず売れない期間を長くしているケースもあるとされています。そのほか、自社で買い手を見つけるために干し行為を行っているケースもあります。
干し行為を避けるには、売主自身でレインズの登録情報やポータルサイトの掲載内容を確認するといった方法が考えられます。売主であればレインズで自分の物件をチェックできます。不動産会社が物件をレインズに登録すると登録証明書が発行されますので、証明書に記載されているURLとID・パスワードを用いてログインし、内容を確認しておきます。
レインズの登録内容が不十分、図面が登録されていないといった状態だと干し行為が行われている可能性もあります。また、「どこのポータルサイトに登録するのか」という点を確認し、実際に登録されているかを確認する、こまめに担当者に進捗状況を聞くといった対策ができます。
干し行為が行われていることが明らかな場合には、媒介契約完了を待って他の業者に変更する、一般媒介にするといった対策が考えられます。
値こなしとは、不動産会社が売主を説得し売値を下げることです。通常の不動産売却でも価格の見直しは行われますし、価格改定の提案そのものは問題ありません。しかし値こなしの中には、敢えて査定額を高くして干し行為の後に値こなしを行うケースや、架空の購入申込みを利用して値こなしを行うケースもありますので注意しなければなりません。
売却希望の不動産がなかなか売れない場合、売主は焦ってきます。そのタイミングで「売れる可能性を高めるため、値段を下げてみては」と提案を行い、価格改定に持ち込みます。
この値こなしは、一般的に売り出し価格を下げさせるために行われます。たとえ値こなしが行われても、最終的に相場よりも高い金額で売却が成立すれば問題ないと考えることもできます。そして売主の価格設定が良くなかった、売主の希望に沿う売却を行うといった理由での価格改定であれば、売主自身もアドバイスとして受け入れることが重要といえます。しかし、両手仲介を行うために価格を下げたいなど、不動産会社都合による値こなしには注意してください。
売主自身も相場を把握しておくことで、値こなしへの対策ができます。もし相場を把握できていれば、不動産会社から提示された査定額や価格改定の提案が適切なのかを判断できます。また、売却の仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際には、査定額のみを見るのではなく、その会社の実績・評判などについてもあわせて確認しておくことが重要です。